GMSの超優等生だったイトーヨーカドーの大量閉店はなぜ起きたのか?

リストラはなぜ行わざるを得なかったのか?

戦略のミスとか言われているが、最も大きなのは、組織の形だと思う。

 

ずばり、鈴木ワンマン体制の弊害。

業革という会議でだれも意見を言うことができない体制を作ってしまったことが最大の原因。

 

鈴木さんがつくったセブンイレブンというグループ内の優等生に対して劣等生のラベルを貼られてしまったヨーカードー。

子育てでもそうだが劣等生だと育てられた子が優秀になるわけがない。

ヨーカドーの社員は業界の中では優秀な社員が多かったと思うが、力を発揮させてもらえなかった。

 

私は中国に滞在していた時に成都のヨーカドーを何度か見に行ったが、素晴らしい売り場だった。

中国の部下にすぐに見に行くように指示もした。その時の成都のヨーカードーの責任者の三枝さんは、日本に戻って社長をされている。

 

要は、思うように実施すれば素晴らしい力を発揮できる人たちなのだ。

それが恐怖政治により、力を発揮できない体制を作ってしまった。

 

さらに、鈴木さんが、店舗への改善の投資をしていればもう少しましだったと思うのだが、そごう、西武と同様手つかずになってしまった。

一生懸命改善をしていっても生き残るのが難しいときに、いくら優秀な社員が店舗にいるといっても投資もなしでは他に負けてしまうのは当然のことと言える。

 

ただ、ヨーカードー、西武、そごうにとっては最悪のリーダーだが、日本の小売業の中でセブンイレブンを今の状態まで進化させたのは、間違いなく鈴木さんの功績だ。

これは間違いないこと。

 

10年ほど前の話になるが、ほぼ同時期に出店したイオンの岡山店とグランツリー武蔵小杉店。

この時期、東京にいた私は、ワイドショーなどが実施するグランツリーのオープン前のレポートをワクワクしながら見ていた。
グランツリーの出店場所はマンションがどんどん立つ武蔵小杉の一等地。

専門店の売り場やサラダのバイキングや直営の非食品の売り場も案内されていた。

楽しみにしていたのでオープンしてすぐに行ってみたが、がっかりもいいところ。
グランツリーの専門店ゾーンは、それなりに進化し、建物も洗練されていた。あまり強くないリーシングも無理をしている感があったが、頑張って導入していた。

ただ、中にあるイトーヨーカドーとしての売りは最低だった。

食品は目新しさはテレビのレポートでいうほどはなかったがそんなに悪くはないと感じた、関東にある有力食品スーパーなどと比べるとかなり落ちるが。

一番あきれたのは、非食品の売り場。

イトーヨーカードのPBを並べた売り場。何十年も前のGMSなら経験値が少なくてこんな失敗もしたかもしれないが・・・。

什器に関しては従来の無機質なものから、少しは商品に合わせたといういつもよりお金のかかった什器になっていたが、全体の統一感はなく、センスがない。

それよりも商品構成、イトーヨーカドーのPBといえば、はっきりいって、魅力も何もない商品。
それだけを集められた売り場なのだから目も当てられない。

私は大手量販店の商品部が長く、新店の売り場も多く作ってきたが、検討会はあったのだろうかと思ってしまった。
どうやって許可が出たのだろうか。だれが許可をしたのだろうかと・・・

これは、少しお客様サイドに立って売り場づくりをすればすぐにわかることなのに、そういう判断ができる人がいないのか、いても声を上げられない社風になっているのかと思った。
あきれる同時に寂しかった。
売り場のことが全くわかっていない人が許可をしたのだと思われた。ただ、社内で上司をだまして許可を得てもお客様はだませない。

対して岡山のイオン。駅に近くて武蔵小杉同様一等地。

直営の売り場は、当時実験中のイオンスタイル。テナントゾーンのつくりは、さすが、ショッピングモールを多く手掛けているイオンモールだと感心した。

私は一時期中国に赴任していて帰国するたびにできる限りイオンのあたらしい施設を見るようにしていたのだが、都度、新しい取り組みをしていることに感心していた。

直営の売り場はお客様に直営と思わせないような品そろえと展開がなされていた。

オペレーションが大変だろうなとは感じたが、お客様にとっては関係ないこと。

組織としての仕事ができているかどうかの差がイオンとヨーカードーの差だと感じた。

かといってイオンの岡田岡田会長が任せっきりというのでもないようだ。

イオン出身の人と一緒に仕事をしたことがあるが、ランドセルの計画も岡田会長まで説明が必要だったとのこと。