「やっぱりこうなると思っていた」は、後知恵バイアス【行動経済学】

認知バイアスとは、人間が情報を処理する際に生じる偏りや思い込みのことです。

認知バイアスが原因で事実を歪めたり、判断を誤ったりすることがあります。

認知バイアスは、日常の意思決定や判断に影響を考慮するため、ビジネスや人間関係など、あらゆる場面で重要なテーマとなっています。

以下にいくつかの代表的な認知バイアスと、その興味深い事例を紹介します。

1.確証バイアス(confirmationbias)

これは、自分の信念や期待に合う情報だけを集めたニュースを信じて、反対する情報を無視する傾向のことです。

会議などでも反対意見を無視することがよく見られます。

確証バイアスの例: UFOを信じる人が空に謎の光を見たとき、それを自然現象や飛行機と考えるよりも、「やっぱりUFOだ!」と確信して起こることがある。そう見えるのは、確証バイアスの影響です。

2.アンカリング(アンカーリング)

最初に提示された情報に強い影響を受け、その後の判断が結果的に引きずられる現象です。

価格交渉の際、最初に高い値段を提示されると、それが「基準」になり、それ以降の価格が合理的に見えることがあります。

アンカリングの例: ある実験で、参加者に「ガンジス川の長さは1500キロ以上ですか?」と質問してみて、実際に考えさせたところ、多くの人が1500キロに近い数字の答えを出し、「3000キロ以上ですか?」と質問された別のグループは、3000キロに近い数字をだす傾向がありました。これは最初の情報(アンカー)が影響を与えた結果です。

3.現状バイアス維持(Status Quo Bias)

現状を変えることに抵抗し、リスクや不確実性を気にせず、今の状態を維持しようとする傾向です。

現状維持バイアスの例: 企業で新しい技術を導入する際、古いシステムが非効率であっても、従業員が「慣れているから」として新しいシステムを導入することに消極的になることがよくあります。古いシステムに問題があるのに、現状を維持したいという気持ちが強くなるからです。

4.後知恵バイアス(Hindsight bias)

実際には事前には分かっていなかったにもかかわらず、後からその結果が当然だったと思うことです。

後知恵バイアスの例: 株価が急上昇した後に、「あの時、あの株が上がることは誰でもわかっていた」と言う人がいます。結果を知ると過去の出来事が「予測可能」だったように感じます。

認知バイアスは私達の意思決定に深い影響を与えるため、その存在を知っておくことは、より合理的な判断をするために役立ちます。