『トンネリング』とは、目先の問題にしか集中できないこと【行動経済学】

『行動経済学』は経済学の一分野であり、経済学と心理学が融合したものです。
経済学とは人間の研究です。人間の心理と経済学の数学モデルを合わせた研究が『行動経済学です』
さまざまな心理を見ていきましょう。

トンネリングとは、

トンネリングとは、目先の問題に対処することだけに集中してしまい、他のもっと重要かも知れないことを放置してしまうことです。

「欠乏の行動経済学」とも言われ、時間・お金・ものが欠乏しているときは目先のことへの対応に追われてしまい、先のことに手がつかなくなるという心理です。

時間がない、お金もない、欲しい車も持っていない…となると無意識化にその「足りないもの」に頭を占拠されるという事です。

朝、出勤時などで時間がないとテレビのニュースも入ってこなくなったりします。

また、財布の中のお金が少なくなると、いらいらしたり、貧しい発想しか浮かばないというような経験をしたことがある人もいると思います。

足りないものに占拠されると何かに集中しているがゆえに他のもの一切が入ってこなくなります。これはトンネルに入ると外界が一切見えなくなるように、まわりの景色が見えなくなることと同じ状態ということでトンネリングと命名されました。

逆にいえば、与えられた期限が短いほど集中して効率が良くなるという事です。

人間という生き物はマルチタスクは向いてない動物で、処理能力を1つに集中させることは他の処理能力が落ちるようになります。

 

トンネリングのメリット

「足りないもの」に頭を占拠されるというというとマイナス面しかないように感じますが、メリットも多くあります。

会社のプレゼンの資料作りが中々手が付けられなかったのが、締め切り間近になって、集中して効率が上がり間に合うとか。

試験直前になってそれまでなかなか覚えられなかったことも直前では集中して覚えることができるとかです。

制約があることで能力や生産性が高まるというプラスの効果があります。

仕事のスピードが速い人は、自ら目先の仕事に集中するということを実施している人です。

自らトンネリングを作り上げるということです。

 

トンネリングのデメリット

プラスの効果の反面、重要な資源が不足すると、その不安に思考を支配されて、直近のことしか考えられなくなる場合が多くあります。

その場合には、人はしばしばまちがった意思決定をしてしまい、将来その判断のツケを払わなければなくなります。

お金に困っているときにすぐ借りれる高い金利の消費者金融を利用したり、時間が迫って来てあせって間違った判断をしてしまったりなどがこれにあたります。

時間に追われている状態は、私たちにさまざまな弊害をもたらします。時間の欠乏により本当に大切なことや、放っておくと将来困るようなことも無視してしまい、状況が悪化するという事です。

会社でも直近の数字が悪いと直近の対策しか実施できないというのはよくあることだと思います。直近の対策では効果が少ないようなことでも実施し、大きな改善にならない。数字の改善ができないからまた直近の対策になる。まさしくトンネリングに入り込む状況です。

 

トンネリングから抜け出す方法

トンネリングから抜け出すための一番の解決法は「余裕を作ること」です。

それも、物事を遂行してからではなくて、計画の段階から余裕を作っておくことが重要です。

ただ、上司からの指示の提出書類だとか、仕入れ先への商品の納入など自分での意思でどうしようもないこともあります。

その場合は、スケージュールを組む時に自分の意思も反映できるスケジュールを組めるように持っていくことです。

そしてスケージュールの中に余裕を作れるようにしていきます。